突発性ヴァンパイア・ガール!
「聞かなきゃ、何も分かんねぇだろうが。

どうして香宮や寅木がそんな行動を取ったのか、何を考えていたのか。

本当のことが分からないままじゃ、この先絶対後悔する。

あんたはこのよく分からない状況のまま、香宮や寅木と距離が離れてもいいのか?

大事な人達を失っていいのか?」


言葉が深く、突き刺さる。


このまま、何もしないまま、


亜美や侑也を失ってしまう。



そんなの。



「そんなの、嫌だ」


拳を握りしめた。



「じゃあ聞けばいい。

誰か他の人から聞くんじゃなく、直接」


吉崎君は言った。


「大丈夫だ。

何があっても、あんたは絶対に独りにはならない。

俺がいてやる。

今度は忘れんな」


真面目な顔でそう言うと、吉崎君は制服の内ポケットから何かを取り出して、私に差し出した。


「何、それ?」


私が指さして尋ねると、吉崎君は一言「銃」と言った。


「じゅ、銃って、拳銃!?」


「それ以外にねぇだろ」


馬鹿か、とため息を吐かれた。



「これをあんたにやる」


「え、いやいやいやいや、いらないけど!いりません!絶対!」


私は顔を横に振り、顔の前で両手を振った。


「そんなおっかない武器なんて持ちたくないし、持つ必要もないし、大体、うっかり暴発しちゃったらどうすんの!」


「そんなことにはならねぇから安心しろ」


吉崎君は溜息を吐いた。


「大体、あんたは吸血鬼から狙われやすい存在だし、実際にも狙われている。

この前は俺が駆けつけられたから良かったものの、これからはあんたが襲われたときに駆けつけられないかもしれない。

その時のためのあんたの対抗手段だ」


鉛色の拳銃を見つめる。


眉間にしわを寄せて不安でいっぱいの自分の顔が反射して映る。

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