現代のシンデレラになる方法



式当日。

私は電車に乗り横浜の式場へ向かっていた。

地元はそこから更に乗り換えて、30分程のところにある。



お二人は共通のご友人との食事の席で知り合ったそうで……

司会のお姉さんの、滞りのないなめらかなスピーチ。

思わず聞き慣れたフレーズに顔がひきつる。


……はっ、出た。

共通の御友人との食事会。

たいていそれって合コンなんだよね。

てかこの新郎新婦が出会った合コンに私もいたし。


しかし、私には人の出会いをとやかく言える筋合いはない。

私と昴なんて、出会いがしらにぶつかり初対面にも関わらず弁当を罵倒され、そしてやがて体の関係を持つようになり……、

ははは、出会い方も恋の始まりも最低最悪。


そんな私達がもし結婚式を挙げたらどうなるんだろうか?

ま、そんな事実は誰も知らないんだし。

同じ職場で出会い、仲を深めていった2人は……

こんな感じでオブラートに包めば。


……って、何妄想してんだろ、あたし。


だけど私はウエディングドレスなんて恥ずかしくて着れないな。

着たとしてもマーメイドドレスで精一杯。


なんて考えてると隣に座っていた、朋美に不意に声をかけられた。


「ね、あんた今彼氏いるの?」

「え、いる……かな?」

「何それ」

「いや私は告白したんだけど、はっきり答えをもらった訳じゃないっていうかさ……。体の関係だけあるみたいな?」

「あんた遊ばれてんじゃないの?相手いくつよ?」

「確か、25だったかな」

「……綾子、ご愁傷様。早く結婚考えられる相手探しなさいよ」


いや、遊ばれてるとは思わないんだけどなー。

だけど、トラウマがあったせいか体の経験はあっても、本気の恋愛に関しては初めてって感じで。

ま、私が人のこと言えたもんじゃないけどさ。


思い上がりじゃないよね。

自分で言ってて、ちょっと不安になる。

違うよね、昴。

あんたは本当は私のこと好きなのよね?

ただ、素直に言えないだけで。


なんか自分で言ってて、自分がおのぼりさんみたいに思えてきた。




< 139 / 196 >

この作品をシェア

pagetop