現代のシンデレラになる方法


「それに今日まで絶対にバレたくなかったし」

今日……?
私の誕生日まで?

別に誕生日に言おうとしなくたっていいのに。

私は本当、その気持ちだけで嬉しい。

なんで、わざわざ……。


「誕生日は綾子さんが生まれた特別な日だから、ちゃんとお祝いしたかったんだ。これからはプロポーズした記念日と一緒にお祝いできるね?」


そう私に聞く。

まさか、そのためだけに……?


「改めて綾子さん、誕生日おめでとう」


……たったその一言を言うために?

それで無茶して誕生日に間に合わせたっていうの?

本当、バカじゃないの……?

胸が苦しくなる。

昴は私が思っていた以上に私のことを考えていてくれたのだ。

下唇を噛みしめて耐えていたのに、涙が溢れてくる。


「これからは、ちゃんと綾子さんが産まれた日を2人でお祝いしよう。これからは俺が枕元にプレゼントを置くから」

もう泣きすぎて頭を上げられなくなってしまった私の頭に、昴の手が乗っかった。


「だからもう誕生日お祝いしないなんて悲しいこと言わないでよ。俺、別に綾子さんの外見だけが好きな訳じゃないし。もちろん綺麗だとは思うけどさ」

「……っ」

「俺は綾子さんがこれからどんなに老け込もうと、どんなおばさんになろうともこの気持ちは変わらないから。だから老化だとか年齢だとか気にしないで。もちろん誕生日もね」


そう優しく微笑む昴。

その笑顔は今までで一番優しいものだった。

私はというと、もう頷くだけで精いっぱい。



「だから、結婚してくれる?」

まだ聞いていなかった肝心のその言葉。

私は、泣きながら必死に答えた。

はい、と。


昴は、感極まって泣く私をそっと優しく抱きしめてくれた。


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