現代のシンデレラになる方法



看護師から、相澤が電車に乗れないのは甘えだと指摘され、思わず納得してしまう。


「この先ずっと電車に乗れないってのは無理なんだから、なんとかしないとなー」

「だからそれはあの子の問題で、先生が気にすることじゃないんです!」


俺の言葉に憤慨する看護師達。

一体なんなんだ。
俺が相澤の心配をして何が悪いというんだ。





翌日、俺が迎えに行くようになって、初めて相澤は弁当を作ってこなかった。

俺はそれにちょっとほっとしていた。
いくら好きでやっていると言われても、金銭的にも体力的にも負担になっているのは事実だ。

なんて思っていたら、病院に着くなり、

「も、もう、朝迎えに来てもらなわくて大丈夫です……っ」

と小さな声で言う相澤。

「え?電車大丈夫なのか?」

「は、はい、昨日久しぶりに乗ってみたら案外平気で……」

「そっか、良かったな」


そしたら、交換条件のようになっていた弁当もなくなるのか。
いや以前だってちょこちょこ作ってはいてくれたんだ。

きっと頻度は減ってもまた作ってくれるだろうと、思っていたのに。


1週間たっても、相澤が差し入れを持ってくることはなかった。






また、朝、売店でパックの野菜ジュースを買うようになった。

……あぁ、相澤の手料理が恋しい。

そう嘆いてもしょうがない。

考えてみれば、彼女は俺の母親でも嫁でも彼女でもない。
俺に弁当を作る義理なんてないのだ、

いくら好意で作ってくれていたとはいえ、俺は彼女に甘え過ぎていた。





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