現代のシンデレラになる方法



届いたテキーラサンライズを相澤は恐る恐る一口。

「あ、本当だ……っ。オレンジジュースみたいで飲みやすいです!」

そうだろう。
だってそれほとんどオレンジジュースみたいなもんだからな。


「えぇー、ひなたちゃん意外とお酒強いんだね?」

「そ、そうなんでしょうか」

な、訳あるかバカ。
何が、そうなんでしょうか、だ。
ほとんど飲んだことないくせに。

しかも、いつの間ににお前は名前で呼んでるんだよ。

しかし……。
しまった、逆効果だったか。


すかさず、男は次のカクテルを頼んだ。

「じゃ、モスコミュール一つ」

今度はそれをライム風味のジンジャーエールにしてやろう。
お前の思い通りにさせるかっての。

心の中で薄ら笑いながら、今度はウォッカを抜くように再度店員のところへ行こうとしたところ。


隣に座っていたナースに服の袖を引っ張られる。

「先生、ちょっと気持ち悪くて……」

「大丈夫か?すいません、ちょっと水もらっていいですか?」

店員に声をかける。
だいぶぐったりしているようで、俺の肩に頭を預けてきた。

周りにいたナース達も心配そうに様子を伺う。

「ちょっと大丈夫?莉子?」

「あ、うん。でも、もう帰ろうかな……」

水を一杯飲んで立ち上がったところ、よろめいて俺の椅子へしがみつくとしゃがみこんでしまった。


「大丈夫か?電車で帰るんだろ?」

「ちょっと、無理かもしれません。誰か車で来てる人がいたら……」

そう言って俺に何か言いたげに見上げる。するとすかさず、他のナースが割り込んできた。

「じゃタクシーで帰ったら?あたし拾ってあげるからさ!ね?」

「ほら、いつまでも先生にしがみついてたら迷惑でしょ?行くよ」

もう1人のナースも加わり、酔った子を2人がかりで店の外まで連れて行った。



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