現代のシンデレラになる方法
やっぱり相澤は気分を悪くしたらしい。
店外にある椅子に座り、男が隣に寄り添っていた。
手は自然と背中に回されている。
「相澤、大丈夫か?」
そう声をかけると、リハ科の男が目を丸くして俺を凝視してきた。
「と、東條先生!?」
なんだ、俺と相澤が知り合いなのがそんなにおかしいか。
「せ、せんせ、すいません、ちょっとくらっとしちゃって……」
相澤が口元にハンカチを抑えながら力なく答える。
「女の子にあまり飲ませ過ぎるもんじゃない」
「すいません、俺が責任持って介抱するんで」
「いい、俺が送ってく」
そう言うと相澤の手をとり立たせる。
「車まで歩けそうか?」
「は、はい。すいません……」
相澤の耳には入らないよう、男の耳近くで囁く。
『こうでもしないと、落とせないなんて情けないもんだな』
そう言うと何か言い返したそうに、きっと睨まれた。
しかし、言い返せないのか悔しそうに口ごもっている。
「相澤、帰るぞ」
「は、はい」
そう促すと相澤の手を引っ張った。