現代のシンデレラになる方法



「……ちょっと手邪魔」

「え……?」

「あぁ、いいね。泣き顔は結構可愛いじゃん、俺サドっ気あるからさ。正直そういう顔たまんない訳よ」

よく意味が分からない。

私の泣き顔がなんだって言うの……?

「それだったらちょっとはやる気になるかも」

「え?」

「こいうことだよ分かんない?まさかその年にもなって本当に処女ってことないよな?」

腕をつかまれ、デスクの上に押し倒される。

思わず、顔がかあっと熱くなった。

その私の様子に、彼は驚いたように言う。

「え、マジで?」

「いや…っ」

彼がやろうとしてることが分かって、逃げようと必死に抵抗しようとする。

しかし彼は簡単に私の体を封じ込めてしまう。

「俺があんたの処女奪ったら、兄貴滅茶苦茶怒るだろうなー」

そう言って、にやっと笑う彼。

しかし、次の瞬間。
ツカツカと歩み寄ってきた先生によって、その頬はグーで殴られた。

「何やってんだ」

静かに怒る先生に私もびくっとしてしまう。

「帰ったんじゃなかったの?」

殴られた頬を手で抑えながら彼が聞く。

「西原がお前に気をつけろって、相澤を1人にしないようにって教えてくれたんだよ」

それを聞くと、彼はちっと小さく舌打ちした。

「最初は言っている意味が分からなかったが、まさかこういう理由だったとは」

冷淡な目つきで、彼を見る先生。

「どういうつもりだ、昴」

「……復讐だよ。あんたが俺からあの人を取った時から、ずっとあんたが憎かったんだ」

「だからって相澤を標的にするな」

「この子が傷つけば、あんたも傷つくだろ?さぞ、あんたの大事な子なんだろうから」

彼がそう言うと、先生は私を申し訳なさそうにちらっと見た。

私はいてもたってもいられず、その場から逃げ出した。

別に否定されるのが怖かったんじゃない。

先生の口からそれを認められるのが怖かったのだ。






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