現代のシンデレラになる方法


きっと彼女は気付いていないだろう。

あそこにいた皆が声を潜めて、相澤さんの話を聞いていたことを。

私はナースステーションから出て行った彼女を呼び止めた。


「相澤さん、ちょっといい?」

「え?」

「今までごめんね、病院来るの辛かったんじゃない?」

そう話しかけるも彼女はぽーっと私の顔を見つめほうけている。

「……あのー、聞いてる?」

「あ……っ!あ、あのすいません、あ、あまりに綺麗な人で、つい見とれちゃって……っ」

深々と頭を下げながら慌てて謝る彼女。


「いえ、ありがとう。でね、前、皆冷たくあたってたじゃない?それを謝りたくて」

「い、いえ、気にしないでください。そんなことされても当然なことをしてたので」

「そんな罪深いことじゃないと思うけど……。だって純粋にあなたも先生のことが好きだったんでしょ?」

「つ、罪深いことです……っ、私なんかが先生の周りをうろちょろしていたら目障りだって思うのは当然のことです」

「あなただけ一方的だった訳じゃないでしょ?、先生の方もあなたのこと大分気に入ってたじゃない」

「き、き、気に入ってただなんて……っ、」

口をぱくぱくさせ動揺する相澤さん。

一体、どうしてこうも謙虚なのだろうか。しかし、こんな良い子を傷つけた罪は大きいわよ、昴。

「ねぇ、今度お詫びも兼ねて一緒に買い物行かない?何かプレゼントさせてよ」

「えぇっ!」

突然の誘いに目を見開いて驚く彼女。

半ば強引に誘ってしまった。
彼女には内緒にしてるけど、その買い物には昴を連れて行くつもりでいる。

昴にも彼女が来ることはもちろん秘密で。

引き合わせた2人の顔が容易に想像できてしまうけど、わだかまり残したままって嫌じゃない。

でも、これってちょっとおせっかいやきすぎ?





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