最期の言葉
最期の言葉
今日初めて事故で亡くなった女の子のお墓参りにいきました
その子は僕よりも小さいけど
気が強くて
頭が良くて
お金持ちで
僕の持ってないものを持ってました
事故の原因は居眠りしていた車に突っ込まれたのでした
でも
本来ならそれは僕が車に突っ込まれて死ぬはずだったのです
その女の子は車に気づかない僕を命がけで助けてくれました
僕はたくさん泣きました
声が枯れるまで泣きました
女の子の親には2度と顔を見せるなと言われました
僕は女の子を殺したのです
僕のせいで女の子は亡くなってしまったのです
7年間ずっとお墓参りにすら行けませんでした
それが今日やっと叶ったのです
女の子の親はあの時と違い変わっていました

あの時君を責めて申し訳ない

そう僕に言ってきたのです
それも泣きながら
僕は泣きそうになりました
でも2度と泣かないって決めたので頑張って堪えました
女の子の最期の顔を見せてもらいました
笑顔いっぱいであの時僕が好きだった女の子の顔でした
僕は頑張って涙を堪えました
そしてお墓に行き花を置き
お線香を焚いて最後の言葉をしました

今までこれなくてごめんなさい
僕は本当に君のことが好きでした
君がいなくなって僕はやけをおこしていろんな人と出会い付き合ってきました
そして結婚をして離婚して
今は1人です
でも僕はまた恋をしました
君以上に好きになりました
身長も君より小さいよ?
君よりバカだよ?
だけど
僕はその子のことが大好きで
ずっとそばにいたくて
守ってあげたいんです
でも僕の一方的な想いなのでその子が振り向いてくれるかわかりません
でも僕は諦めません
君がいつも僕に言っていたよね?
諦めることを覚えたらなにもできなくなるって
僕はね
その子と遊んだ時その子がとても大事にしてた物を無くしたんだ
その子は諦めていたんだけど
僕は諦めないで必死になって探したよ
散歩した道
お店
全部探したよ
結局鞄の中に入ってたんだけどね
僕はその子に言ったんだ
大事な物なんだから諦めるな
って
僕はその時ちょっと怒っちゃったんだ
君のことが頭に浮かんだからさ
その子はきっと僕のこと嫌いになったと思うんだ
でも僕は自分勝手なんだよ?
僕も諦めてたから
生きることに諦めを感じてたから
僕の心臓に穴が空いてることは知ってるよね?
僕は君が亡くなってからタバコを吸うようなったんだ
でもね
思った以上に悪化して頻繁に病院に行ってたんだ
お医者さんには今すぐタバコをやめなさい
吸い続けていたらどんどん生きる時間がなくなる
もうね
その言葉を聞いて僕はお医者さんに言っちゃったんだ

僕は人殺しなんです
早く死なせてください

って
馬鹿だよね
君もそう思うだろ?
僕は君が亡くなってからずっと死ぬことしか考えてなかった
なんども自殺したんだよ
でもね
どんなことしても生きちゃうの
高い所から落ちても
自分の腕を切っても
ちょっとした怪我で終わっちゃうんだ
唯一残された希望が心臓だったんだ
悪化させる為にタバコを吸って
ある日ね
好きなこと一緒に寝てた時いきなり心臓に痛みがきたんだ
僕はその時思ったの

もっと生きたい
この子とずっと一緒にいたいから
生きさせて

って
すんごくわがままだよね
僕もそう思う
だけど本当にそう思ったの
初めて生きたいって思ったの
そのくらいその子のことが好きに好きになっちゃったんだ
だから僕は意を決して君の親に会いに行ったんだ
そしてね
君に最期のお別れの言葉を言いにね
僕は最低な人間
君を殺して
悠遊と生きている
そんな奴が恋をしてる
許してもらおうとは思ってない
だけど僕なりにけじめをつけたかったんだ
ごめんね
君の人生をめちゃくちゃにして
でも僕はその分君の人生を背負っていきます
こんなんじゃ駄目だけど僕が君にできることはそれしかないんです
だから許してね?
だけどこれからは毎年墓参りには行くから
その時だけはあの頃のことを思い出させてね?
これで最期にするね

今までありがとう
君のことが本当に大好きでした

僕は女の子のお墓にそう告げて後にしました
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