赤い電車のあなたへ






そうだよ。やっと龍太さんに逢えるんだ。


だから、嬉しくて涙が出るんだよね?


これはうれし涙なんだよ、絶対に。


悲しいとか寂しいからとか、絶対に絶対に違うんだから!


胸に鉛を飲んだみたいに重い気持ちも、穴が開いたような寂しさも。全て気のせいなんだ!


わたしは元気なんだよ。そうでなくちゃいけない。ほたるに悟られちゃいけないもの。


昨晩わたしが夏樹に何を言われたか、何をされたのか。ほたるに知られたら、変に誤解をするかもしれない。


もっとも、昨晩のやり取りはわたしと夏樹しか知らない。
わたしはもちろん話すつもりはないけど、一つの危惧があるんだ。


それは、寝言。


以前夏樹に言われた事がある。龍太さん関係の事を寝言で知ったと。


三日湖のお部屋は女の子同士だから、最悪ほたるに何もかもしゃべってしまう可能性もあるんだ。


うわあ、どうしよう。と頭を抱える。


寝言なんて睡眠中の無意識な中で出るから、自分でコントロールしようがない。どうやって防げばいいんだろう?


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