帝国湯へ、いらっしゃい

***

昼休み


「伊藤…お前さ」

「ん?」



「また、将棋の本?」

「今度は中級編だ」


「好きだねえ」

…………



「な、イタリアンの女とはどうなったんだ?」

「そのために、本を読んでるんだ」


「は?」



「話すと長い」

「じゃあ、聞かね」


プルル…

ん?


「はい。琴?」

『うん。今、大丈夫?』


「大丈夫」

『あの、今日会えるかな?』


「いいよ」

『あ、じゃあ…』



電話を切った


「おい、イタリアンの店の場所教えろ」

「なんだよ、この前行ったんじゃないのかよ」


「行ってないから聞いてるんだよ」

「意味がわかんねえな」



いいから、早く教えんかい!

琴から誘われるの珍しいんだぞっ
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