帝国湯へ、いらっしゃい

浴場に入って目に飛び込んできたのは

「鯉だ!!」

やっぱり女湯は鯉の絵だったんだ



「はい、磨いて」とブラシを渡された

そうだった。掃除するんだった


「すげー湯船が空っぽだ!」

「当たり前でしょ」


「琴ちゃんには当たり前でも、俺には感動なんだ」


覗いたら湯船の底が丸見え

「こんな風になってるのか」

「ちょっと、手を動かしてよ」


怒られた


とまあ、俺はいちいち感動し
そのたびに琴ちゃんに注意されるのを何回か繰り返した


「もう、終わりか?」

「うん」


「庭っ!!女湯の庭が見たい」

「どうぞ」


よし。許しを得たぞ


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