お姫様と若頭様。2nd


彼は私の手をとる、と言うより、掴む、握るといった形で私を誘導した。

なぜだかとても足速に。







そして迷うことなくホテル内を進んで行き一つの扉の前へ来ると、扉を開けた。




スイートルーム


彼が用意したのはまさにそんな部屋。


こんなことで別に驚いたりしない。

だって彼は、この国で名高い企業の後継者なのだから。
これくらい、きっと容易いこと。















覚悟、ない。











それでも時は、彼は、どんどんと私を運命へと誘う。

まるで私の運命がずっとそこにあったかのように。





私はきっと、
この状態を保てないかもしれない。

これ以上汚れることなんてないと、
本気で思っていた自分は正直馬鹿だ。
とんでもない愚か者だ。


世界はまだ、私の知らない闇で溢れていると言うのに。





このために私は
生まれてきたのだろうか?
このために私は
女だったのだろうか?
このために私は
彼に出会ったのだろうか?
このために私は





…全てを投げ出さなくては
ならないのだろうか?







彼のおかげで女に生まれた喜びも、
彼のおかげで彼と出会えた運命を心から
感謝したことも、
彼のおかげで生まれてきた喜びも、



全てを覆ってしまうのは、












【一生晴れることのない闇】










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