空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~

でも。


大樹とあたしが付き合っていることは、祐輔以外の誰にも秘密だった。


もちろん、親にも内緒。


知ったら大樹の両親が心配するかもしれないし。


だから、逢うのはいつも祐輔の部屋だった。


同じマンションの祐輔の家だけが、大樹が唯一、自由に外出できる場所だから。


「おい大樹、佳那、オレん家に遊びに来いよ」


「いいの? この前も祐輔の部屋におじゃましたばかりなのに」


「いいから来いって。オレひとりでゲームしてもつまんねえじゃん」


「ごめん。いつもありがとう祐輔」


「だから、オレがゲームしたいんだって」


祐輔はいつもこんな風に、あたしと大樹を招待してくれた。


部屋ではいつも三人一緒だったから、大樹とふたりきりになれることなんてほとんどない。


こんなんじゃ、付き合っているっていえないかもしれないけど。


でもあたしは、毎日がとても楽しくて幸せだった。


祐輔の親切が嬉しかったし。


大樹と、思いが通じ合っている。


それがあたしにとっては何よりも重要だったから、あたしの心は満たされていた。


ただひとつ。


大樹の心臓の病気。


それだけが、暗い影を落としていたけれど・・・・・・。

< 39 / 244 >

この作品をシェア

pagetop