人魚と恋

晶-あきら-の家



司路からの電話で晶の家に向かっている途中、スーパーに寄ったおかげで、あの人に会えた。

司路ありがとう。

ゆうさんは、一週間前と変わらず、綺麗で、可愛くて、またおれと話をしてくれた。
もしかしたら、一週間前におれと話したことなんて忘れられてるんじゃないかと心配してたけど、ちゃんと覚えててくれた。また連絡先は聞けなかったけど、次会えたら、教えてくれるって約束もしてくれた。
しばらくスーパー通いかな。幸いにしてたいてい夕飯は1人だし、あそこのスーパーは弁当まで売ってる。
もし連絡先教えてもらったら…

また、いろんな妄想が膨らむ。
気が付いたら、もう晶の家の前を通り過ぎていた。
いけね、と慌てて戻る。

そしてインターホンを押して、2人が待つ晶の部屋へ通してもらった。
司路の話してたことがなんであれ、おれのニュースがナンバーワンだと、うきうきで部屋に入った。

部屋に入ると、2人が待ちくたびれたと愚痴をこぼす。
軽く謝ったあと、おれは司路の方を叩いて、すっごいことあってさー!と意気揚々とさっきの出来事を話した。
司路たちは途中、何か言いたげだったがとにかく最後まで聞いてくれ、と話し続けた。

晶は司路の顔をチラチラ見て何も言おうとしない。司路は少し困った顔をして、おれがどうした?と聞くと、いつもみたいに笑って、良かったな!と言った。
司路が笑ってくれて安心したおれはだろー、本当に良かったよ〜と返した。
おれの返事を聞いて硬い表情を崩さなかった晶もやっと、そうだな、と返してくれた。

あんまりにも2人の反応がぎこちないから、おれもやっと2人に何があったのか聞いた。
晶はやっぱり言いにくそうだった。
司路はえーと、と言って、やっぱり言いにくそうにしている。
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