人魚と恋



妹さんは机に座って遠くを見ながら話し始めた。

「まあまずは大まかな流れから話した方が良いかな。

まず、あるところに仲の良い姉妹がいて、姉をゆうき、妹をゆうみって言ってね、二人は年が離れていたけどいつも一緒にいたような気がするなあ。


一緒にいても、能力とかは全然違くてね
ゆうきは本当に優秀で、秀才だったよ。
スポーツもそれなりにできるし、交友関係も広く男女問わず仲良くてよくモテてたし。あ、モテてたのは見た目と性格がいいのもあったのかな。
一方ゆうみは、大人しくて、地味で。
人見知りでろくに友達もいなくて、それはそれは姉とは正反対な子だったんだよね。


そして、姉と妹は同じ学校に通ってしまう。それが全ての原因であり、始まりだったのかも。」


妹さんは哀しく笑った。


「姉は教師として、妹は生徒として通い始めたわけなんだけど、世話焼きで妹が好きな姉が、妹を放っておくことはできなくて、ついつい構っちゃったんだよね
それで友達が増えることを姉は目論んだんだけど、その逆の結果になって、妹はだんだんいじめられ始めるの。


なんでうまくいかないんだろうね…

多分、妹は普通の大人しい子だったはずなんだけど…」



おれは気が付けば手を強く握りしめ、汗をかいていた。
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