ご主人様に監禁されて


「そんな…」


「……察してください」


切なそうに言ったルイに、顔を歪ませたリル。


「……申し訳ありませんでした。余計なことを言いましたね」

「いえ、気にかけて下さるお気持ちだけでも幸いです」


好きだというのは、傍から見たら明白だ。


けれどそれを伝えてはならない。

それは、メイはルコーラのものであって、ルイにとっては妹だからだった。


「エルナリーゼという名前なのですか?」


「はい。ヒューアス姓になるのなら、どうせならと父が」


…徹底していた。

名前まで同じにしてしまうなんて。

とことん、ルコーラはメイをエルナリーゼにしたかったのだ。

気分のいい話ではないな、とリルはため息をついた。


リルが想定していた以上であった。


メイの境遇は、あんなに明るい笑顔に隠れて見えないだけで、真っ暗だった。



「しかしルイさん、あなたはいい選択をしましたね」

「はい?」

「私のもとに協力に来たのは正解です。ピンポーンです」

手で丸を作って。
ふふふっ、と天使のように微笑んだ。


「大丈夫、あなたは何も心配しなくていいのです。もう、彼を失脚させるシナリオは出来ています」


立ち上がって、ルイのもとへ。
う、っと嫌な顔をしたのはティンだけだった。


「さて、ルイ・ヒューアス。あなたはお父様を切り捨てて自分だけのし上がることができますか?

申し訳ないとかいうふざけた情はありませんか?」



ぞっとするほど美しく、紅の瞳を笑に染めて。


彼女は誓わせるように問う。

「リル様……?」

疑問に思ったルイが問えば、リルは押すように追加した。


「…私にはお父様も救いあなたも救えるほどの頭と力はありませんの。
選んでください。ちなみにあなたを選べば、オプションにメイちゃんをつけましょうね」


ルイはわかった。

彼女は、気を使ってるのだ。

相手は父親、切り捨てて地にたたき落とすほどの覚悟があるのか、情があるのではないか、と。

あるのならばシナリオは進ませない。

そういうことだ。


「……リル様、僕はいつだって、メイのためなら死んでもいいと思っています」


「まあまあ、自分ではなくメイちゃんを選ぶとは…。
ふふ、羨ましいですね。
そんなに愛されたいものですわ」


金色の頭に白い指を沈めて、頭をなでた。
まるで忠犬を愛でるかのように。


「では、すべてをお話しましょうか」



リルのエピローグと、その後のシナリオが始まる。


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