Curses return upon the heads of those curse.
「酷い雨じゃの。こんな夜は、下の貴船も騒がしゅうていかん」

 京の北にそびえる鞍馬山。
 その奥の奥にある小さなお堂で、一人の少年がぼやいた。

 見かけは少年なのだが、言葉遣いは、やたらと古臭い。
 大体このような民家もない山奥に、このような少年がいるほうがおかしいのだ。

「全く、人の女子の執念というものは恐ろしい」

 のぅ、と傍らに寝そべる白い虎に語りかける。
 虎は同意するように、ぐるる、と喉を鳴らした。

 この少年は、僧正坊という。
 虎を従えていることからもわかるが、人ではない。

「まこと鬼になったら、使いようもあろうがのぅ。ちっと様子を見てくるか」

 軽く言うと、僧正坊は蓑を纏って、虎を振り返った。

「お主は濡れると厄介じゃ。留守番しておれよ」

 身を起こしかけていた虎は、不満そうに鼻を鳴らしたが、僧正坊の命には逆らわず、またその場に身を伏せた。
< 1 / 9 >

この作品をシェア

pagetop