Curses return upon the heads of those curse.
 さて、不穏な空気を感知して、貴船のほうまで降りてきた僧正坊だが、辺りは嵐真っ只中。
 さしもの僧正坊も、うっかりしていると吹き飛ばされそうだ。

「ひえぇぇ。さすがのおいらも、天の怒りには逆らえんわぁ」

 言いつつ、大きな杉の木にしがみ付く。
 僧正坊がいるのは、木の上だ。
 あまり人の前に姿を晒したくはない。

 もっともこのような嵐の夜中に貴船に来る者など、まともな人間ではないのだが。
 案の定、こーん、こーん、と木槌を打つ音が響いている。

「ああ、やってるやってる」

 音のするほうへ、木から木へ飛び移りながら近付いていく。

「この野分の中、ご苦労なこったね」

 僧正坊の目に、一心不乱に木に藁人形を打ち付けている影が映った。

「あ〜あ、若い娘さんが台無しだ。蝋燭も消えてるじゃん」

 頭に被った鉄輪には、蝋燭が刺さっているが、当然ながらこの嵐の中、火が消えないわけはない。
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