Curses return upon the heads of those curse.

結

　僧正坊の扱う迦楼羅炎は、悪鬼を焼き尽くす。
　女がまこと悪鬼なら、この場で祓ったほうがいいかもしれない。

　少し考え、僧正坊は、空に向かって口笛を吹いた。
　ややあってから、風に乗って獣の唸り声が聞こえてくる。

「来たな」

　僧正坊が呟くや、ごぅっと一陣の風が吹き、白い虎が僧正坊の傍らに降り立った。

「こいつはおいらの相棒でねぇ。鞍馬のお寺を守るのが役目だ。鞍馬は烏天狗の里だしな、生半可なモノじゃ守れねぇのよ。……阿吽、こいつぁ使えそうかい？」

　ぽん、と虎の頭に手を置き、僧正坊が言う。
　虎は金色の目で女を見、少し牙を剥き出した。

　と、そのとき。

　いきなり空を、稲妻が割った。
　はっとしたときには、雷はそのまま傍の木に落ち、地を揺るがす。
　あまりの衝撃に、思わず僧正坊は、虎にしがみついた。

　そしてその衝撃が止む間もなく、ばりばりばりっと音がし、木が倒れてくる。