Curses return upon the heads of those curse.
「丑の刻参りの女子は多いがなぁ。お前さんほど執念がないのさ。大抵共連れだしな」

 ここは呪いの総本山。
 丑の刻参りをする輩は多い。

 だが大抵は怨みよりも、恐怖が勝るようで、何人もの共を連れて、明かりを灯し、びくびくとやってくるのだ。

「そんな野郎の呪いなんざ、効くわけねぇ。逆に言うと、お前さんぐらいの怨念だと、願いは成就するかもだぜ」

 何と言っても、すでに人の域を超えているのだ。

「その姿で怨む相手の前に出るだけでも、十分効力はあろうがな」

 笑いながら、僧正坊は女の前の木を見た。
 頭に打ち込まれた五寸釘は、一本ではない。

「相当な怨みよな。身を捨てても、呪い殺したい相手か」

 こくりと、女が頷く。

「けど、おいらに会っちまったのが運の尽きか。呪いは感心しねぇ。おいらは鞍馬の山に住む、烏天狗だ。僧正坊という。お前さんがおいらの言うことを素直に聞かねぇと、即座に迦楼羅炎で焼き払うが……」

 まじまじと、僧正坊は女を見る。
 見た感じ、人ならざるところは、どこにもないのだ。

 が、女のいる状況が普通でない。
 このような状況で、平然としていること自体が、普通でないのだ。
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