先輩、私恋してるっぽいです。
「あ、先輩。今日もあんぱんないんですか?」
「ざんねーん。レアだから」
私と先輩が初めて会った時以来、私はあんぱんを食べていない。
というのも、
実はあのあんぱんかなりのレアもので、井崎先輩の家の近くにあるらしいんだけどすぐ売り切れるというのだ。
…そんなレアあんぱんを私にくれた先輩はやっぱり良い人なのか。
「陽奈ちゃん、赤ハチマキ似合うね」
「ほんとですか?嬉しいです!」
体育祭限定で巻くハチマキ。
赤でよかったと思う。
すると突然、先輩は何かを思いついたような顔をした。
「ん。これ俺の頭に巻いて」
「え?…私が?」
「いーじゃん。面倒臭いんだもん」