ベランダから見える星
「……って。」


「姉さんに話があって来たん…」


「帰って!!」


やめて,お願い。


音緒たち幸せな母子を見た後にこの現実はきつい。



「静,誰だった?」


リビングから出てきた拓海を見て,京介…弟は頭を下げた。


私の様子がおかしいと思ったのか,拓海は私を引き寄せた。



「君は?」


「はじめまして,榎本静の弟,京介です。」


『お前弟いたのか』と小声で言った拓海に頷いてみせる。



「まぁその…
 立ち話もなんだから上がるか?」


拓海の気を使ったであろう提案は最悪だった。


『じゃあお言葉に甘えて』などと言って,上がり込んでくる京介もふざけるなという感じだった。


私は,先に,逃げるように奥へと足を進めた。


< 267 / 401 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop