ベランダから見える星
「面倒臭いから今日は鍋な。
 翠さんと静一郎さんも食べていかれますよね?」


「あぁすまないね。」


「拓海くんありがとっ」


今日はお父さんたちお泊りしてくみたい。


そんなこと初めてでなんだか嬉しくなった。


だって前は仲悪かったし,今は静奈いるし…



「って静奈は!?」


「お義母さんが預かってくれてるよ。」


あっそうなんだ。


お母さんのお母さんは凄く優しい人で,私のことも可愛がってくれる。



「お前は帰れよ?」


音緒が冷たく言う相手はもちろん葵。



「あっ音緒くん駄目じゃない。
 同じ夢を持つ者同士仲良くしなきゃ!」


「何で俺の進路知ってんですか!?
 ってこいつと一緒!?」


驚くことがありすぎてパニくっている葵は放置して鍋を囲む。


あれ…何で音緒は葵と同じってことに驚かなかったんだろ。


知らなかったはずなのに。



「ほらっ皆で食べましょ!」


お母さんにそう言われたら文句は誰も言えない。


みんなで鍋を囲み,さっきまでの出来事を感じさせないくらい楽しい食事が始まる。


またみんなで鍋を囲めたらいいなと,ひそかに願ったくらい。


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