薬品と恋心
ー甘えたい。
ー頼ってしまいたい。
ティアは悲鳴をあげかけている心に強引に蓋をする。
今、弱くなるわけにはいかない。
ーしっかりしなくては。
ティアは瞳を閉じ、冷静になるよう自分に言い聞かせた。
(よし…大丈夫)
ティアは顔を上げてジーニアスを見た。
「古代薬の文献を探していたからです」
ー嘘ではない。
解除薬を飲んで成長することができれば、追っ手もティアだとわからないだろうし、同じ町にずっと住むこともできる。
それまでは逃げなければならない。
頼りたい気持ちを押し殺してティアは微笑んだ。