薬品と恋心
初めて感じた外の世界は確かに魅力的だった。
それはきっとジークがいてくれたからあんなに色鮮やかに見えたにちがいない。
ジークが一緒にいたから、あんなに楽しめたのだ。
だから、たとえ外に行くことはかなわなくても、ジークに会えればそれでいい。
じっとその横顔を見ていると、視線に気づいたのか、こちらを向いてニヤッといたずらっぽく笑う。
「なに?そんなに見つめちゃうほどカッコイイ?」
「なっ…ちがうから!!」
「なぁんだ~、ちがうの?」
否定するとわざとらしく肩をすくめてははっと笑う。
なぜか顔に熱が集まるのを感じてティアは視線をそらした。