躊躇いのキス
訪れる沈黙。
こんなの、告白しているようなものだ。
だけど雅兄は鈍感だから……
こんな言い回しじゃ気づかないかもしれない。
ドキドキしながら、次の行動を待っていると
雅兄の座る椅子が、くるっと回転する。
「侑那」
「……」
下から見上げられ、真剣な瞳をした雅兄と視線が絡み合う。
伸ばされる手。
ビクッとして、思わず目を閉じた。
むぎゅ。
「そういうセリフは、
女子力を上げたときに言え」
雅兄の伸ばされた手は、
あたしの鼻をぎゅっとつまんだだけだった。