もっと君と   愛し合えたら
「言ってごらん?」と彼は私の髪をかきあげてくれた。

首筋が赤くなっていた。

「何?ここ、赤くなってる?」

「あっ?」

さっきたくみにされた時のキスマークがついていた。

「誰にされた?今は言えない?」

私は昔付き合っていたたくみのことを話した。

苦しんだことも全て話した。

「ごめんなさい。私のことで野瀬さんに嫌な思いをさせてしまって、もうこんなことはないから。」

私は怖かった。

野瀬さんに嫌われるのが一番怖かった。

でも彼は大人だった。

「よく話してくれた。僕は夕美の全てが大切だから何でも話してほしいと思っている。僕も君には何でも話すよ。わかった?」

「はい。」

「彼とのことはもう済んだことだ。問題ない。君は僕だけを見ていてくれないか?」

「野瀬さん、ありがとう。」

私は彼にそう言われても不安な気持ちがあった。

< 21 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop