AfterStory～彼女と彼の話～

┣2人のお正月（美空×幸雄）

【星野美空side】



　新しい年はあなたと…



　四つ葉出版社が冬季休暇に入って幸雄さんとＫ駅周辺でデートをしてから数日後、年が明けた三が日は実家に帰って久しぶりに寛げた。

　幸雄さんも実家に帰ると聞いていたから、今頃はのんびり出来ているといいな。

　ファッション雑誌『Clover』の編集長である幸雄さんはいつも定時を過ぎても仕事をしているし、休日も取引先の方と会うことが多いので纏まった休みは年末年始ぐらいだと知らされていたから、私から会いたいとかで困らせないようにしないと思って、お正月はそれぞれの実家で過ごそうと私から提案をしてみた。

　実家からアパートに帰って、リラックス出来るように服を着替えてテレビをつけると、初詣でや福袋を買いに出掛ける人たちの映像が流れる。

「今年の御神籤は吉でした！」
「アパレルブランド"S"の福袋を買うために、始発で来ました！買うことが出来て嬉しい！！」

　こうして映像を見ていると、やっぱり幸雄さんと一緒に出掛けたかったって思うのは矛盾かな？

　本音は大晦日のカウントダウンや初詣などに一緒に行きたかったけど、数少ない休みに付き合わせたら申し訳ないよね。

　テレビを消してベッドに行き、顔を枕に埋める。

　社内恋愛でも私たちは別々の部署だから会えないのが基本で、寂しいからこっそり会うけどそれは束の間で、やっぱり丸一日デートが出来ると嬉しい。

　それはこの間のデートで叶ったけど、また会いたくなる、でも忙しいから。

　世の中の彼女スキルが高い人はどうやって乗り越えているのかな？このまま冬季休暇が終わるまで一人で過ごしていくのかな？

　さっきからこんなのばかり考えちゃう。

「会いたい…」

　本音をポツリと呟いて、瞼を閉じる。