AfterStory~彼女と彼の話~
求めるかのように唇を重ね、幸雄さんの手は私の浴衣の帯を解き、唇を私の首筋から徐々に下に向かって這っていく。

「っ…、ゆき…」
「俺だって足りないよ。だから―…」

私の肌を這っていた幸雄さんの唇が、私の耳元でこう囁かれた。

「だから、美空をたくさん感じさせて?」
「―!―」

その言葉で体に流れる血流が沸騰するかのように熱くなり、私も同じように幸雄さんを感じたくて背中に腕を回した。

ゆっくりと浴衣を脱がされると下着が露になり、幸雄さんの視線が突き刺さるのが分かって顔を背ける。

「恥ずかしいので電気を消して下さい…」
「消したら可愛い下着が見えないよ?」
「分かります?」
「うん。美空のこと、ずっと見てるから分かるよ」

そう言われちゃうと奮発して良い物を選んだ甲斐があって、心の中でガッツポーズをする。

そして幸雄さんの細長い指が下着の肩紐にかかって全て脱がされると、幸雄さんは腰を深く落としてきた。

「っ…、やっ…」

体は温泉で温まった筈なのに、今は肌が触れ合う度に灼熱のように感じてきた。

唇を重ねれば、息苦しさよりも愛しさを逃したくなくて、幸雄さんの頬を両手で包む。

初めての旅行ということで私の全身は普段お互いの部屋で蜜夜を過ごしてる時よりも感じる物全てが研ぎ澄まされ、意識が白くぼやけてくるのを堪えたくて、シーツをギュッと握り締めた。

このまま達してしまえばいいのは分かっているけれど、またいつ旅行をすることが出来るか分からないから、この時間を一分一秒でも長く感じていたい…。

「美空、泣かないで」
「えっ…?」

いつの間にか涙が頬を伝っていたのだろうか、幸雄さんは指腹でそっと私の涙を拭った。

「ごめんなさい…、このまま時間が過ぎるのが嫌で…」
「俺もだから泣かないで」
「……」

私たちは外の光が白くなるまで、ずっとずっと触れ合った。









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2015/5/5up

お次は東雲沙紀×南山彰の休日です
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