AfterStory~彼女と彼の話~
「この前、仁から借りたミステリーの本、すげぇ面白かったんだ。あれは次の文学賞レースに入ってくるんじゃないか?」
「そうなんだ?俺も読んでみたいな」
「今度、持ってくる」


 飲む時はあまり仕事のことは話さず、こうして好きな話題で話すのが心地いい。

「今年のバレンタインイベント、2月12日金曜日にするから。どんなチョコを食べれるか、期待しているぞ」
「もうそんな時期かぁ」

 お正月を過ぎてからずっと雑誌の進行を続けていると、時期的なイベントに気づかないな。

 高坂専務発案のバレンタインイベントを開始して、どれぐらいの年月が経ったのだろうか?忙しくても部下たちは楽しみにしているし、今後も続けられたらと思う。

「今年も星野さんに貰うんだろ?いいなぁ~、一粒位はお裾分けしてもらいたいな」

 また高坂専務のイジリが始まった。

 まぁ…貰うけれど、前回のように俺も美空に贈って、あの喜んだ顔をもう一度見たい。

 映画は前回のでちょっと抵抗があるし、お店に予約して食事かな?美空にバレンタインの予定のことを相談してみよう。

 タクシーのラジオで流れていたコスメブランド"M"の限定盤ネイルも気になるし、見に行く時間をつくらなくては。

「にやにやし過ぎ。仁、寂しい者同士で慰め会をしようぜ」
「高坂さんと違って寂しくないから、しない」
「何だよ、冷たいな」
「まぁまぁ。ほら、飲もうよ」

 2人の仲を取り持って、また3人で色んな話をして盛り上がった。
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