AfterStory~彼女と彼の話~
 B警察署内の生活安全課に入り、署員の人たちに挨拶をして自席に着いた。

 今日は先日ストーカー相談に訪れた相談者の情報を確かめるために、同じストーカー対策室の先輩である田中先輩と共に聞きこみに行くこととなっていて、その準備をする。

 タブレット端末をバックり入れて、そうだ、聞きこみの途中で雨に降られてはいけないから折りたたみ傘も持って行こうかな。

 万が一雨が降っても大丈夫なのように、常に引き出しには天候対策のグッズを入れているのだ。

「東雲、行くぞ」
「はい」

 準備を終えた田中先輩と共に生活安全課を出て廊下を歩いていると、刑事課の周りはスーツ姿の刑事たちが出たり入ったりと慌ただしくなっている。

 事件に動きがあったのかなぁと呑気な感じでいたけれど、どうも様子がおかしい。

 刑事たちの表情もだけど、こう…空気がピリピリとしていて、事件が解決したというような雰囲気でもない。

「何かあったんでしょうか?」
「んー、みんな表情が強張っているな。なぁ、ちょっといい?」

 田中先輩が男性刑事に声をかけた。

「何?」

 うわぁ…、そんなにぎろりと田中先輩を睨まなくてもいいのに。

「刑事課で何かあったのか?」
「………他の課の奴には関係ない」

 間を開けて答えると、その男性刑事は刑事課の中に入っていった。

 あんな答えと態度で関係ないと言われても、何かあったとは明白だよね。

「詮索してもしょうがないな。いつか分かることだし、俺たちも目の前のことに集中しなくちゃな。行くぞ」
「はい」

 田中先輩もこれ以上は聞いても無駄だと判断して、私たちも相談者の声を無駄にしないように誠心誠意対応していかなくちゃ。

 私は田中先輩と共にB警察署を出て、聞き込みを始めたのだった。
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