AfterStory~彼女と彼の話~
◇愛、溢れるValentine2015
T都S区のS駅を降りて大通りを歩くと、百貨店が立ち並ぶエリアがある。

ここには老舗の百貨店が多いが、角井百貨店(ツノイヒャッカテン)という新店があり、顧客は20~40代がターゲットだ。

角井百貨店は現在開催中のバレンタインフェア力を入れており、ショップ毎に販売するバレンタインアイテムのサンプルを1階中央フロアに置いてある。

角井百貨店の受付嬢の大野茜(おおのあかね)は受付から見えるバレンタインアイテムを見て、隣に並ぶ同僚の受付嬢と話をする。

「今年のバレンタインフェアは、どのショップも気合いが入ってるね」
「私は義理チョコと友チョコを、地下のショップで買おうかと思います。茜先輩は?」
「私は雑貨フロアにある"バレンタインキット"を買って、手作りして皆に渡すかなぁ」
「わぁ、手作りいいですよね」

バレンタインは購入派や手作り派に分かれ、購入派は自分用にと奮発して選ぶご褒美チョコ、友達にあげるという友チョコが人気の傾向がある。

「私は男性から貰いたいです」
「それもいいね。男性からプレゼントされたら、キュンっときちゃうかも」

最近は海外のように、男性から女性へ贈ることも増えてきている。

「茜先輩、メンズフロアにある"S"ブランドは"チョコ色のネクタイ"があるみたいですよ」
「普段から使えるアイテムもいいよねー」
「ワインショップは、"アルコール入りチョコ"がありますね」
「オトナ向けのチョコかぁ」
「バレンタインアイテムって、お風呂で使う入浴剤も人気ですよね」
「"チョコ風呂"だよね♪甘い香りで、彼と一緒にお風呂に入ることが出来るなら使ってみたいなぁ」
「茜先輩、早く相手を見つけましょう」
「そうね…」

現実を思い知った大野茜は深くため息を吐く。

「すいません、あの…」

大野茜の前に、1人の客が声をかけてきた。

「いらっしゃいませ」

大野茜は瞬時に受付嬢スマイルをし、接客を開始するのだった。


バレンタイン―…、それは大切な人に愛を込めて贈る日。

今年のバレンタインは、どんな愛が贈られるのでしょうか?

そしてまた、どんな愛が囁かれるのでしょうか?
< 61 / 165 >

この作品をシェア

pagetop