宇宙の放課後
彼女の理由

高校生活最後の年をむかえ、進路を考え始めた頃、付き合っていた彼とは自然消滅に近い別れ方をしてしまったけれど
バイトは続いていた。


進学してやりたいことも特になかったため
とりあえず卒業してもしばらくは
今のバイトを続ける予定だと両親に告げた。


「そういえばこの前ユリちゃんのお母さんに会ってね」


その夜、母が懐かしい名前を口にした。


「ユリちゃんが雑誌に載ったとか言って名前教えてくれたんだけど…何か横文字の…」


呪文のような言葉をひとしきり唱えたあと
昔から可愛かったよね、そう言って台所へ立った。


ユリが雑誌に…似合いすぎる。
読者モデルかストリートスナップだろうか。


先ほどの呪文に近い雑誌名をいくつか候補にあげ、翌日、ケントを誘い書店へ向かった。
< 11 / 13 >

この作品をシェア

pagetop