星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】

25.星空と君の手 -百花-



『モモ、何時まで眠ってるの。
 大切な人を何時までも悲しませないで……』



何処からともなく聞こえた
お姉ちゃんの声。



ゆっくりと耳を澄ますと、
優しい、心地よい音色が私の中に広がった。





……託実の音色……。





託実が奏でるベース、
ギブソンサンダーバードの音色。


力強い鼓動が私の背中を強く押してくれる。






一定のリズムで奏でられるベースに重なっていくのは、
そう……Takaのギターの音色。




そんな音色に引き寄せられるように、
ゆっくりと浮上していく私の意識。





『百花。

 早く、目覚めなって。
 
 ほらっ、アンタこんなにも託実さんに
 愛されてんじゃない。

 何時までも……寝ぼすけしてんじゃないよ。
 
 流石の私も……これ以上は
 待てないんだからね』






唯香……、
親友の叫びにも似た優しさ。




ったく……もう唯香は無茶苦茶なんだから。




体を起こして手を伸ばそうとするのに、
どんなら力を入れようとしても、
体は言うことを聞いてくれなくて、
私は何も出来ないまま、ただ親友の声を受け止める。




……唯香、心配かけてごめん……。



『唯ちゃん。

 ほらっ、百花さんに悲しい顔見せるなって
 言ったよな。

 俺は兄貴にそんな顔しか見せられなかったから』




そうやって唯香に声をかけるのは、
唯香の教え子、宮向井君。




懐かしい声が次々と聴覚を刺激していく。





その後、ふんわりと柔らかい感触が
唇に降り注いだ。



啄むように、パワーを注ぎ込んでくれるように
優しく降り注いだくちづけ。

< 171 / 253 >

この作品をシェア

pagetop