星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】

12.結婚式&神前悧羅祭 -百花-


10月最後の日。

私は託実と結婚する朝を迎えた。

前日の夜から、準備が終わらずバタバタで
少し睡眠不足を感じる中、沢山の荷物を抱えて託実の車へと乗りこむ。

会場となる伊舎堂のホテルに到着すると、
私はすぐにヘアメイクやら、婚礼衣装へと袖を通していく。


少し早目に、十夜さんたちによって連れられて会場入りした唯香は
そのまま私の準備している控室へと顔を出した。


「百花、とうとうこの日だね」

「うん。
 なんか、唯香より早くなっちゃったね」

「そうだねー。
 でも……私も、百花の後追いかけたいって今は思ってる。

 隆雪さんの件は精神的にキツかったけど、今の私的には
 隆雪さんが元気で居たとしても、雪貴を選んでるかもしれないって
 今は思えるんだ」

「一足先に私は幸せになるけど、私は唯香のゴールまできっちり応援するから」


そんな会話をしながら、鏡の前に映る私は今日の主役へと姿を変えていった。
そんな私の支度風景を、唯香は邪魔にならないところでデジタルカメラで撮影中。

着替え終わった頃、お祖父ちゃんやお父さん、お母さん。
それにうちの親戚の人や、家族の関係者とかが顔を見せる。



「まぁ、百花ちゃん。
 本当に綺麗になったわね」


そう言って微笑んでくれるのは、
お祖父ちゃんの画廊で働いていたスタッフ仲間たち。

その筆頭には相本さん。



「百花、本当に綺麗だ……」


そう言って笑いかけてくれたお祖父ちゃん。

ちょっと胸中複雑なのか、
お父さんは時折、遠くを見るような素振りをする。


お母さんは、理佳お姉ちゃんの小さな写真をフレームに収めて
大切に抱えている。



「お母さん、別にお姉ちゃんの写真私も持って来てたのに」


用意していた、
少し大きめのフレームにおさまったお姉ちゃんの写真に視線を向ける。


託実が宝珠さんから貰って来てくれた、
お姉ちゃんが、クリスマスに有名なピアニストと一緒に演奏した時の写真を大きく引き伸ばして貰ったもの。


ピアノを演奏しているお姉ちゃんが、
一番キラキラしているみたいな気がして綺麗だったから。


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