星空と君の手 【Ansyalシリーズ 託実編】






脳内に響く警笛。









彼女は
……理佳じゃない……。









里佳は、
もう居ないんだ。












彼女を
代わりにするなんて出来ない。














渦巻く葛藤は……
俺を掻き乱していく。














20分間のステージが終わり、
俺たちは、袖へと戻っていく。









楽屋へ戻る途中、
十夜が……俺に無言で睨む。








その表情は今日、集中しきれなかった
俺に対してもクレーム。







演奏もミスってない。
ステージも盛り上がった。







だけど……俺自身が全てに集中できていなかったのは確かで。




他のメンバーが気が付いていなくても、
昔からの腐れ縁のアイツには……
見破ることはたやすいらしい。



ひとたび、ステージを降りたとたん
アイツの表情はガラリと変わる。









シークレットLIVEの後は、
車椅子の子をマスターに頼んで、Ansyalの楽屋に招いて
俺たちメンバーと、その子と数回言葉を交わして一枚の記念撮影。


スタッフにそのままコンビニに走って貰って、
写真を焼いて貰った後は、その写真にそれぞれにメンバーがサインを書きこんで
プレゼントして、お開きになった。



LIVEハウスからの撤収作業を終えて
スタジオに戻ると、Ansyalとしての武装を解除する。



今日の予定は終了。




それぞれがスタジオから
帰宅していく中、灯りがついた部屋が一つ。




そこには一人、
ギターを触り続ける雪貴。






あぁ、アイツの問題もあったか。





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