世界一遠距離恋愛
最初で最後のデート
「絵里子ちゃんっ!今日、秋風くん学校に復帰するみたいだねっ!」
「あっ…そう言えば!教室に全然女の子がいない!」
「もう学校中の女の子が大騒ぎだよっ!久し振りにお迎えに行かないと、だもんねっ♪」
やけにノリノリで話すさくらちゃんにどう反応すれば良いのやら戸惑うあたし。…いよいよ今日、透が退院して学校へやってくる。何だか緊張しちゃうなぁ…二人きりよりも大勢の中で二人の方が余程恥ずかしいかもしれない。いや、恥ずかしがらないって決めたけど!
なんて思いながらソワソワしてるんだけど、ソワソワしているのはあたしだけじゃないのは当然の事である。クラスの女の子がほとんどいない事からもその事はよく分かる。
「久し振りに騒がしくなっちゃうなぁ…。」
「ホント…勘弁して欲しいよぉ…。」
「ふふっ、他の女の子にチヤホヤされちゃう自分の彼氏を見るのは辛いのかな?」
「げっ!そのネタ禁止だよさくらちゃん!」
そう言えばさくらちゃんはあたしが透と付き合っているのを知っている。教えてはいないけどなぜか察していた。他の子には絶対に内緒と約束して来たおかげで今のところ他の誰にも広まっていないみたいだけど…。
「今日、嫌でもかなりの人数にバレちゃうんだろうなぁ…。」
朝のまだ眠い時間、机に突っ伏す。…しかしあたしに休息の時間など現れない。
「…ふふっ、来たみたいだよ。秋風くん。」
さくらちゃんの声に耳を傾けると、聞くつもりはなかった女の子の歓声まで耳に入って来た。
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