世界一遠距離恋愛
「あーはいはい!俺病み上がりなんだって!そんな走らせないでくれよ!」
「透くーんっ!病気って何の病気ー!?」
「まぁ…俺のかっこよさに自分で惚れ込んで火傷した感じ?」
「きゃーっ!秋風様ぁーっ!」
「…あのバカ何言って…秋風様!?」
相変わらずくだらない事を言っている透に一瞬呆れたが、すぐにこの長くとも短い数週間の間に透の名前に『様』とさえつけてしまう女の子の出現に驚いた。まぁ無理もないか…顔良くてお金持ちじゃ。
「やぁ皆、おはよう!帰って来たぜ!」
「秋風ー!待ってたぜー!女連れて来いとは言ってねぇけどー!」
透の超軽快な挨拶にクラスの男の子達は飛び蹴りで返す。足は男の子同士での挨拶の道具の一つだと言う事は何と無く中学校辺りから気付いているので何も驚かない。…きっと蹴りが本気なのは調子に乗っている透に対する素直な気持ちであろう。超共感できる。あたしでも回し蹴り決めたいもん。
…これ、あたしに気付いたら大変な事になるんじゃ…。
「おっ!絵里子!」
…遅かったか…。
「いいかお前ら、よーく聞けよ?女の子達もクラスの奴等も皆ちゃんと聞け!」
あたしに近付きながら透はそう言う。…あ、またロクでもない事考えてるよ、この人。
「俺、絵里子と付き合ってるんだわ。」
あたしの肩に腕なんか回しちゃって少々かっこつけながら自慢げにそう言う透。ガラ悪いなぁー…透ってこんなキャラだっけ?
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