無理して笑うな

〈悠斗said〉

…耳が割れるかと思った。




音楽が始まって少しして、メンバーがステージに飛び上がった。




でもそれは全員ではない。




ステージにいるのは亜依、斗真、蓮の3人で達也と唯がまだステージに出てきていなかった。




「…あと2人は?」




3人が登場したことでおこった耳が割れるような歓声に負けないように、俺は大声で由奈に聞いた。




「うーん、あたしにもよく分かんない。」




しかしそんな由奈の声もかき消されてしまった。



それは、客席の両端からまた歓声があがったから。



俺達が振り向くとそこには唯と達也がいた。



2人はそれぞれ左右の、俺達が通ってきた入り口から入ってきたのだ。




それは今までにないサプライズだったらしく、ファン達も信じられないようにその光景を眺めている。



2人は左右の通路を通ってファン達にしばしば止められながら、ゆっくりステージに近づいて行っている。




達也は右の通路、唯は左だった。




「悠斗君!嵯峨山 唯がこっちに来るよ!」




俺の席は左の通路から3番目のところで



俺の左横の2席には俺たちより少し年上ぐらいのカップルが座っている。



カップルは唯に1番近づけるということもあり、女性の方は半分失神している。



唯は相変わらずのスピードでゆっくり歩いている。



横にいる由奈はそれを食い入るように眺めている。



唯が俺達のすぐ横まで来た。




握手を求めて手を差し出したカップルに唯が笑顔で答えているとき






唯と目があってしまった





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