グレープフルーツを食べなさい
「ただ食いするんだから、運ぶのも手伝いなさいよ」

 上村は自分の仕事は終わったとばかりに、再びソファーに腰を下ろしていた。「はいはい」と言いながら面倒くさそうに腰を上げ、「あー、マジで腹減ったなー」と言いながらこちらにやってくる。

 お茶碗にご飯をよそっていると、カウンターに置いていた私のスマホが流行りの男性ダンスグループの曲を奏でた。

「え、先輩こいつら好きなの?」

「うるさいわね!」

 着信音を聴いて吹き出す上村を睨みつけ、スマホを手に取った。上村はまだ口を押さえて笑いを必死に堪えている。

 私は視線を手元のスマホに戻し、画面をタップしようとして息を飲んだ。


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