Wonderful DaysⅢ【berry’s cafeバージョン】
『……それって、結城魁のことを言ってんの?』
「まさか」
『じゃあ……』
「ふふっ。手に入ったのは、マリア・ウィンザーの方よ」
女が嬉しそうにその名を口にすれば、電話口の向こうからは「へぇ」と感心するような声が返ってきた。
『周りのガードが固いのに、よく連れて来れたじゃん』
「まぁね」
『……でも彼女って、一週間後に拉致る計画だったんじゃなかったっけ?』
「その予定だったんだけど、思い掛けずあの女が一人きりになってくれたから連れて来ちゃった……って、なんでクロがその計画のこと知ってるのよ!?」
今まで上機嫌で答えていた女は、問われた言葉に驚いて声を荒げる。
『さぁ?』
その反応を楽しそうに聞いている男は
「さぁ、って……」
『俺、依頼主のことも徹底的に調べ尽くすから』
隠そうとしたって無駄だよ。
そう言って、クスクスと笑う。