Wonderful DaysⅢ【berry’s cafeバージョン】
「おはようございます、マリア様。モーニングティーをお持ち致しました」
「へ?」
私以外には、誰も居ないはずの部屋に響いた声。
思わず肩がびくりと揺れた。
「……ランスロットさん」
声のした方へと顔を動かせば、部屋の入り口でにこりと笑みを浮かべて立っている燕尾服姿のランスロットさんがいた。
「お、はようございます……」
……私を、起こしに来てくれたんだよね?
それにしては、随分と距離があるような気がするのは気のせいだろうか?
遠くで聞こえたと思っていた声は、本当に遠かった。
「余裕を持って来たつもりでしたが、あまりお時間がございません。モーニングティーをお飲みになりましたら、朝食の準備が整っておりますのでダイニングルームへお越し下さい」
「は、はい」
「では、失礼致します」と頭を下げて部屋を後にしたランスロットさん。
「……………………」
アル兄さんが買ってきてくれた目覚ましも寝起き最悪だけど……
あの人の起こし方は、別の意味で心臓に悪い。