空とマンホール
運命。
そんな言葉を思っておいて、笑える。
哲ママ、哲パパ、南雲さん、バスケ部の友達、汐野の家。
哲が持っているものは、沢山ある。
それに比べて、あたしは今現在、帰る場所すらない。
幸せになりたいって思ったわけじゃない。
哲に好きでいて欲しいって思ったわけじゃない。
「哲があたしのこと、嫌いでも」
コンビニの駐車場の車止めの近くで座り込んだ。
文化系は走るものではない。
息を落ち着かせて、来た方の道を見る。哲は来ていなかった。
ひっく、と喉の奥で忘れていた音が聞こえた。