空とマンホール
良かった、と思う。
「先輩、あたし用事あるので帰ります」
「え、砂藤さん?」
試合が始まる。歓声を背中に、あたしはそこを離れた。
体育館を出ると、思うより暑い。
後ろから先輩が着いてきたのに気付いて振り向く。
「送ってくよ」
「そんな、大丈夫ですよ。明るいですし……それに、先輩気にしすぎです」
多分、哲に彼女がいるっていうことを気にしているのだと思う。別に聞かれなくても何でも事実は変わらない。
夏休み前、朝の廊下で南雲さんからあたしは言われた。
「汐野と付き合うんだ」と。