忘れた

再びアパートへ




部屋着、タオル、歯ブラシ…下着。


準備が終わり、健斗の部屋に向かって声をかけた。


「友達の家に泊まりに行くって、お母さんたちに言っといて。

夜ご飯は自分で作ってね」


ええー、そんなあ、という健斗の嘆きの声を背中で聞きながら、あたしは階段を駆け下りる。


勇介の家に泊まりに行くのは、これで2回目。


前は友達の家に遊びに行く感覚だった。


でも、今回は…


彼氏の家に、お泊り。心構えが全然違う。


キスとか、するんだろうか。もしかして、その先も…


公園でのことがあってから約2ヶ月。


あたしの心の傷は、癒えつつあった。男の人はまだ苦手だけど、相手が勇介なら…


そんな思いも芽生え始めていた。

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