ひとひらの雪
「鑑識が血痕の付いたガラス片と床に落ちていた毛髪を採取したからすぐに鑑定が行われるはずだ。大丈夫、きっと犯人を見つけてみせるよ。」
「はい、お願いします……っ」
僅かに見えた光明を信じ、体育会系らしくバッと頭を下げる雪姫。握りしめたままの拳と力の入った肩から、本当は今すぐに奈々と晴流を探しに行きたいという想いが伝わってくる。
それをしないのは今自分が動いたところで意味がないと分かっているから。そして残されたもう1人の友人の身を気遣ってのことだろう。
──まさか目撃者である茨木湊人がこう絡んでくるなんて……。
数時間前、目撃者の名前を出した途端に通話が途絶えた琥太朗。雪姫の通報で駆けつけてついでに事情を問いただしてみれば、判明したのは更に複雑な繋がりだった。
立て続けに起こる事件と過去の因果。元々気が弱い琥太朗はかなりの精神的ダメージを受けたようで、今もリビングで頭を抱え込んでしまっている。
現状を分析すれば今後何が起きるのかは嫌でも想像がつく。それが当然の反応ではあるのだが…。