ひとひらの雪
「斗真くぅーーんっ!」
雪姫に習ってか琥太郎も叫ぶ。声が裏返っているが、本人は至って真剣だ。
「よくからかわれて、たまに泣きそうになったけどっ、でもでもっ、斗真くんのことっ、嫌いじゃなかったよぉーっ!」
その目は奈々に負けず劣らず腫れていて、同じように連日泣いていたのだと分かる。
──辛かったのは自分だけじゃない。
そんな当たり前のことに今更気づくと、心は嘘みたいに晴れていた。
「…斗真ーっ!」
吹っ切れた奈々は二人に負けないくらいの大声で叫ぶ。
「ずっと言えなかったけど…っ、私、あんたのことが好きだったのよーっ!!」
たぶん、斗真は自分をそういう風には見ていなかっただろうけど。
「もうすぐ全国大会よ!雪姫達が勝てるように、ちゃんと見守っててあげなさいよねーーっ!」
琥太郎が堪えきれずに声を上げて泣き出した。それに釣られて奈々の目からも涙が零れる。雪姫は背中を向けているけれど、きっと微笑んでいるのだろう。
その後三人は揃って教師に怒られた。しかしその顔にはもう、涙は無かった。