失 楽 園
机に向かい、いつも定位置に
置かれた鋏を、
取り付けられた引き出しから
取りだし、限界まで開く。
私は息を止め、
思い切り左の手首に降り下ろした。
カシャン、と音をたてて
鋏が机に落ちる。
見たらその刃には、
僅かだが血液が付着していた。
その鮮やかな赤に、
吐き気がする。
そうしてみるみる内に
滲み始める血を
私はまるで他人事のように
眺めるのだった。
嗚呼、私は生きている。
生きている。