臆病者達のボクシング奮闘記(第一話)
入部

 四月、入学式が終わって一週間後、県立永山高校ではイベントが催されていた。

 放課後、新一年生が全員第一体育館に集められ、その前でそれぞれの部活動が紹介をしていく。

 サッカー部は、金髪のカツラをかぶった人がリフティングのパフォーマンスをし、野球部は古臭い青春ドラマで一年生達の笑いをとっている。

 他の部活も部員を増やそうと、面白可笑しくパフォーマンスを演じていた。

 最後にボクシング部の順番に回ったが、十二人の部員が全員並び、その左端でキャプテンが説明するようである。

 十二人の構成は男女六人ずつで、男子は全員イケメンとは言い難いものの、女子は全員容姿が整っていた。


(あの六人の女の子達はマネージャーかな?)

 一年生の高田康平(たかだこうへい)はそう思った。

「自分達ボクシング部は、少しでも楽をして強くなれるように、スパルタ式ではなく合理的な練習で頑張ってます。一人でも多くの人の入部を待っています! 以上」

 キャプテンの説明は三十秒程で終わり、すぐに全員が下がっていった。

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